月3万の管理費で対応は2ヶ月待ち?ドメインを人質に取られた小さな会社を救う「誠実なHP」のあり方
「IT導入補助金で作ったHPが、2年間も公開されていない」
西多摩エリアにある、社員10名ほどのモノづくり企業(製造業)の社長様から、ある日このようなご相談をいただきました。 「2年前にIT導入補助金を使ってホームページを作ったのだけれど、いまだにリリース(一般公開)ができていない。力を貸してほしい」
補助金を使って制作したホームページが、2年経っても公開されていないとは一体どういうことなのか。疑問を抱きつつも、私は社長のもとへお伺いしました。
遅れている理由を伺うと、非常に深刻な「パートナー選びの歪み」が見えてきました。ホームページの軽微な修正を依頼しても、制作会社からの返信は2〜3ヶ月待ち。遅々として作業が進まないため、公開したくてもできない状態が続いていたのです。
10年以上の付き合いと、毎月3万円の「見えない鎖」
驚くべきことに、この事業者様とITベンダーとの付き合いは10年以上前にさかのぼります。ホームページやメールサーバーの管理などを含め、毎月3万円以上の費用をずっと支払い続けてこられました。相手は都心に事業所を構える中堅企業です。
「それだけの費用を毎月支払っているのですから、普通に仕事をしてほしいと、強く伝えても良いのではないでしょうか」
思わずそうお伝えした私に、社長は力なく首を振りました。 「何度もお願いしたけれど、なかなか動いてくれない。そのうち、こちらから伝えること自体が嫌になってしまって……。それに、下手に強く出て解約することになったら、補助金の兼ね合いもあるし、何より仕事で使っているメールが突然使えなくなったら困る。だから、強く出られないんです」
ホームページの制作費は、補助金を使うためのECサイト(ネットショップ)機能込みで150万円。しかし、そのECサイトは現時点でまったく動いていませんでした。ドメイン(ネット上の住所)もサーバー(データの保管庫)も、すべてそのITベンダーがガッチリと握っており、社長は文字通り「身動きが取れない状態」に陥っていたのです。
奪われた主導権を取り戻し、本来の「営業ツール」へ
私はまず、事業者様の手元に主導権を取り戻すため、事業者様経由でITベンダーに交渉してもらい、WordPress(ワードプレス)の管理者権限を出してもらいました。そこから、滞っていた固定ページの修正をスピーディーに行い、まずは無事にホームページを正式リリースさせることができました。
この苦い経験を通じて、私は「小さな会社におけるホームページのあり方」について、2つの強い確信を持ちました。
1つ目は、「ホームページはお客様の資産であるべきだ」ということです。 私たちの新しいパッケージサービス「ちゃんと見つかるHP」では、ドメインもサーバーもすべてお客様ご自身の名義・管理で進めます。さらに、1年が経過した後はいつでも無条件で解約が可能です。万が一「やめたい」と思ったときには、いつでもデータを丸ごとお客様の資産として持ち出せるオープンな仕組みにしています。毎月の費用で縛り付け、人質にするような関係は絶対に間違っていると思うからです。
2つ目は、「そもそも、すべての小さな会社にWordPressやECサイトが必要なわけではない」ということです。 人材も限られ、日々のブログ投稿(コンテンツマーケティング)をする予定がない会社にとって、運用の難しいWordPressはオーバースペックであり、セキュリティリスクも抱えることになります。必要なのは、自社の強みをシンプルに伝える「受け皿」です。
ネットとリアルを繋ぐ「特注品獲得」への挑戦
現在、この製造業様とはホームページの「本来の目的」を見つめ直し、さらなる改善を進めています。
会社の信頼性を補強するだけでなく、コンサルティングの中でニーズが高まっていることが見えてきた「特注品の獲得」へ向けて、ホームページの役割を再定義しました。難解なシステムを組むのではなく、シンプルな固定ページで「特注品の事例」「よくある質問(Q&A)」「注文の流れ」「専用問い合わせフォーム」を分かりやすく整えました。
この分かりやすい「受け皿」がネット上にできたことで、社長がリアルの営業活動で「うちはこれが得意です。詳細はホームページを見てください」と自信を持って外部へアピールできるようになりました。ネットとリアルの両面から導線を作ることで、ホームページは今、ようやく本来の営業ツールとして動き出しています。
「わからない」を盾にされ、大切な自社のホームページを他人に握られてしまう状況を、これ以上増やしたくありません。私たちはこれからも、価格も契約もどこまでも誠実に、小さな会社の挑戦を泥臭く支え続けます。