ミスのたびにチェック項目が増える会社へ。確認作業を減らすための3つの見直し
見積書の金額を間違えたので、提出前に上司の確認を追加する。入力漏れがあったので、確認表に項目を増やす。別のミスが起きると、さらに担当者を一人増やす。
一つひとつは必要な対策に見えます。しかし、確認する人と項目を増やし続けると、作業に時間がかかるうえに、「誰かが見ているはず」という思い込みも生まれます。
確認作業を減らすには、チェックを一律に省くのではなく、ミスが生まれる場所を直すことが先です。 次の3つを順に見直します。
- 何を防ぐためのチェックか
- ミスが起きる前の作業を変えられないか
- 人が確認すべき項目を絞れないか
1.何を防ぐためのチェックかを確かめる
まず、現在の確認項目を並べ、それぞれについて「どのミスを防ぐために始めたか」を確認します。
例えば、見積書の確認表に「顧客名」「商品名」「数量」「単価」「合計金額」があるとします。すべてを同じ方法で確認する前に、過去にどの項目で、どのようなミスが起きたかを見ます。
その際は、次のように記録すると整理しやすくなります。
確認項目 | 起きたミス | 起きた場所 | ミスが出た場合の影響 |
|---|---|---|---|
顧客名 | 別の会社名を選んだ | 顧客情報の入力時 | 誤送付につながる |
数量 | 注文内容を転記し間違えた | 見積書の作成時 | 金額や納期に影響する |
合計金額 | 計算式を上書きした | 見積書の修正時 | 請求額に影響する |
「念のため」と残している項目も、すぐに削除する必要はありません。まずは防ぎたいミスと、その影響を説明できるかを確認します。影響が大きい項目は、手間がかかっても確認を残す判断が必要です。
2.ミスが起きる前の作業を変える
確認を増やすだけでは、同じ入力ミスが毎回発生し、毎回誰かが見つけることになります。ミスが起きる場所を特定できたら、入力や作成の方法を見直します。
例えば、次のような方法があります。
- 顧客名の表記がばらばらなら、決まった一覧から選べるようにする
- 数量の転記間違いが多いなら、注文内容を何度も書き写す流れを見直す
- 計算式が消されるなら、入力する欄と計算する欄を分ける
- 記入漏れが多いなら、必要な項目を入力画面で明確にする
ここで大切なのは、使っているツールよりも業務の流れです。元の情報が分かりにくい、複数の資料から数字を集める、修正した内容を別のファイルにも反映する。こうした流れが残ったままでは、確認担当者を増やしても負担は減りません。
同じ情報を紙・Word・Excelへ繰り返し入力している場合は、Excel転記を自動化する前に確認したい5つのことも参考になります。
3.人が確認すべき項目を絞る
入力方法を整えた後は、人が判断しなければ分からないことと、仕組みで見つけられることを分けます。
例えば、必須項目の空欄や計算結果の不一致は、入力画面や表の設定で気づけるようにできる場合があります。一方、取引先と約束した条件が見積内容に反映されているかは、経緯を知る担当者の確認が必要です。
確認する人も、目的に合わせて決めます。「作成者、上司、経理が全項目を見る」とするより、誰が何を判断するかを明確にした方が、確認漏れを見つけやすくなります。
ただし、金額が大きい取引や、契約・法令・安全に関わる作業は、影響に応じた承認や二重確認を残してください。作業時間を減らすためだけに、必要な確認まで外さないことが重要です。
一つの業務で試し、ミスと時間の両方を見る
全社の確認表を一度に変える必要はありません。まずは、毎週または毎月発生する一つの業務を選びます。
- 現在の確認項目と確認する人を書き出す
- 最近起きたミスと、その発生場所を調べる
- 入力方法や作業の流れを一つ変える
- 確認項目と担当者を見直す
- 変更前後のミス件数と確認にかかる時間を比べる
時間が短くなっても、見逃すミスが増えていれば改善とはいえません。反対に、確認時間が変わらなくても、重大なミスを早い段階で防げるようになったなら意味があります。
社内でミスの発生場所を特定でき、手順を変えられる場合は、小さく試すところから始められます。部署をまたいで同じ情報を扱っている、確認を外す判断ができない、改善後の運用担当が決まらない場合は、業務の流れを整理する支援を利用する方法もあります。
まとめ
ミスが起きるたびにチェックを追加すると、確認作業は増え続けます。まず現在のチェックが何を防いでいるかを確かめ、ミスが生まれる入力や作業の流れを見直してください。
そのうえで、影響の大きい項目と人の判断が必要な項目に確認を集中させます。最初の一歩は、一つの確認表を取り出し、各項目の「防ぎたいミス」と「確認する人」を書き添えることです。